手術に先立って、まず始めに施行される“麻酔”。 麻酔は、施術中における全身の状態の管理と疼痛(痛み)のコントロールのために施行されるものです。
美容整形を考えた時に、手術代金や失敗しないかどうか等、幾つか心配な事柄がある訳ですが、その中の1つが痛みに対する不安です。
簡単な手術(プチ整形)であったとしても、本当に痛くないのかどうか・・・疑心暗鬼になる気持ちは皆さん同じでしょう。
特に、痛みに対して弱い方は尚更不安もつのります。
ここでは、そうした方々の為に、麻酔に対して正しい知識を身につけ、その不安を取り除く為の1つの材料として活用して頂ければと思います。
麻酔の第一の目的として極当たり前の事ですが、耐えられない苦痛を取り除き、それに伴なう不安やストレスを軽減する事が挙げられます。
そして、その方法には幾つか種類があるという事をまず理解しましょう。
以下に挙げるものが、美容外科で行なわれる代表的な麻酔の施術方法です。
麻酔を人体に施すには、医師も研鑽や訓練を必要とします。特に全身麻酔や硬膜外麻酔は、施術に高度な知識と技術が必要です。近年、美容外科業界を含め医療事故の中の多くが、こうした麻酔によるものも少なくないのが現状なのです。従って、経験の浅い医師や特別な麻酔医認定資格を持っていない医師であれば安全に麻酔の施術を行なえるかどうか、多少の不安が残ります。麻酔はその扱いを1つ間違えれば、取り返しのつかない事故につながってしまう非常に重要な要素なのです。
執り行う施術に対して、どういった麻酔方法が最適なのかを見極める判断力も医師には求められます。勿論どういった方法を選択するかは、施術を受けられる方の希望もありますので、この両面から総合的に判断されるべきものでしょう。
医師とのカウンセリングの際には、施術内容や料金面と併せて、麻酔方法の確認もきちんと行なう事をお薦めいたします。また身体に何らかの疾患やアレルギーがある場合や、以前にあった場合は、もれなく問診表に記入し、担当医にも必ず伝えましょう。
挿管(気道にチューブを通す)を行います。術中に意識は無く、自発での呼吸も出来なくなるので人工呼吸器を使用し管理します。主に、広範囲に及ぶ施術で適応されます。脂肪吸引術でも吸引箇所が何箇所かにわたっている場合は全身麻酔になる事が一般的です。
手術後は回復室等で体内から麻酔の薬が抜けるまで休養する必要があり、状態によってはそのまま入院に至るケースもあるので、日帰りで手術を受ける事が難しい事が多いでしょう。医学的には鎮静、鎮痛、筋弛緩の効果を狙う場合を指します。
脊髄に直接麻酔薬を注射し、部分的に痛感を麻痺させる方法です。
注射を行なう場所により、麻酔がかかる身体の部位がおおまかに決まっているので、必要最低限の部位だけ麻酔をかける事が出来ます。
手術を受ける方の身体的な負担が少なくて済みますので、最近はこの麻酔方法を選択するケースが多くなっています。
ただ、注射には熟練した技術が必要ですので、全ての医師が施術を出来る訳ではありません。。
血管(静脈内)に麻酔薬を注入し全身に麻酔をかける方法です。
効果としては強いものではなく、他の麻酔方法と併用する場合が多く全身麻酔の導入時に、先にこの静脈麻酔を施す事が一般的です。局所麻酔や硬膜外麻酔でカバー出来ない場合、更に補助的に加えるケースもよく見受けられます。
最も使用される麻酔方法で、局所的に神経の伝達を遮断するお薬を直接注射し、その部分の痛感を一時的に麻痺させる方法です。
歯医者で行なわれる麻酔をイメージするとよく理解できるはずです。
手術部位が広範囲になる場合は適しません。皮膚表面の感覚を局所的に麻痺させる麻酔もこの部類に入ります。美容外科においては二重の手術や、わきが・多汗症の治療等で主にこの方法が選択されます。